高齢化社会が進み急増する「介護離職」を減らすためにはどうしたらいいか。
高齢化社会は、高齢者だけでなくその家族にも大きな影響を及ぼしています。
2013年7月に総務省が発表した就業構造基本調査では、無職で介護に専念している人は266万人、働きながら介護をしている人は290万人。また、介護を理由に離職する人は年間でおよそ10万人にも達し、高齢化が進むのに合わせて、加速度的にその数を増やしています。特に40代から50代の女性が多く、男性は50代から60代と、年齢が進むほどに介護理由の離職が増えています。
働きながら介護をしている人たちの中心となるのは、40代から50代、ちょうど会社における働き盛りの年代で、統計上も全体の6割を占めているそうです。社内における管理職など、業務上の経験を積んだ社員が介護理由で離職してしまうことは、企業の運営やマネジメントにも深刻な問題となり得ます。
明治安田生活福祉研究所とダイヤ高齢社会研究財団が共同で行った、親を介護したことのある40歳以上の正社員を対象とした調査によると、介護を理由に離職したり転職した人は、その半数以上が介護を始めてから1年以内に離職しているという実態が明らかになりました。また、介護開始から5年以上経ってから離職した人も1割ほどいて、平均すると介護を始めてから2、3年以内に離職に至っているようです。
また、いったん離職してしまうと、介護期間のブランクや年齢などがネックとなり、再就職には困難を伴う状況に陥ります。介護理由の離職者のうち、再就職できた人はわずか25%。介護を終えても職場に復帰できない人は、年間でも相当数に上っています。
介護離職による社会的な影響を深刻と見た厚生労働省では、家族の介護を抱えている労働者が仕事と介護を両立できる社会の実現を目指し、「仕事と介護の両立~介護離職を防ぐために~」という提言を行いました。
これによると、仕事と介護を両立させるポイントとして、次の5つを挙げています。
ポイント1:職場に「家族等の介護を行っている」ことを伝え、必要に応じて勤務先の「仕事と介護の両立支援制度を利用」する。
ポイント2:介護保険サービスを利用し、自分で「介護をしすぎない」。
ポイント3:ケアマネジャーに何でも相談する。
ポイント4:日ごろから「家族と良好な関係」を築く。
ポイント5:介護を深刻に捉えすぎずに、「自分の時間を確保」する。
厚生労働省では、仕事と介護の両立を図るために、介護保険制度をはじめとする、介護が必要な人を支える仕組みとその利用法についての理解を促すとともに、育児・介護休業法といった支援制度を上手に利用することを勧めています。
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介護ぱど