介護報酬2.27%引き下げ決定。サービスや賃金の低下を危ぶむ声も
政府は11日、2015年度の新年度予算の閣僚折衝が財務省において行なわれ、介護報酬を、全体で2.27%引き下げることを決定しました。介護報酬のマイナス改定は、06年に実施された2.4%の引き下げ以来9年ぶりとなります。
今回の介護報酬の改定率を個別に見ますと、事業者への報酬がマイナス4.48%とされている一方、人手不足が続く介護職員の賃金待遇改善のため、人件費に関する報酬をプラスの1.65%、認知症の人への手厚い介護など良質なサービスを提供する事業者への加算もプラス0.56%とし、全体としての報酬幅を2.27%のマイナスとするという内容です。これにより、特養やデイサービスを運営している事業所では大幅な減益となります。
これまで、社会保障費削減の観点および一部の特養の莫大な内部留保を問題視することから、4~6%の引き下げを要求する財務省と、介護の現場で働く職員の賃金アップのため引き下げ幅を極力小さくしたい厚生労働省との間で綱引きが行われてきました。確定した引き下げ額(率)を数字だけで見る限りは、特養の利幅を減らしたい財務省と、介護職員の待遇改善を行いたい厚労省、双方の思惑が「それなりに」反映された結果といえるでしょうか。
改定率の数字だけを見ると、介護職員の待遇については良くなるように思え、試算ではこの改定による介護職員の賃金については月あたり平均で1万2000円アップ*されるだけの財源を確保したことになります。しかし、職員報酬の上乗せには、職員の正社員化などの処遇改善などを行った事業所を対象とするなどの条件があり、また、事業所単位の収益(報酬)は減額となるため、介護施設全体としてのサービスの低下や職員数の削減に繋がるのではと危惧する声もあります。
*勤続年数などの条件によって異なる
一方、今回の介護報酬引き下げにより、介護保険の利用者負担(介護保険料)については減額となり、もし介護報酬引き下げがなかった場合、一般の高齢者では、現在月5000円の保険料が、約15%値上げの5800円となる見通しだったものが5550円に抑えられることに。 また、年間の収入が120万円以下の低所得者向けには介護保険費用の軽減措置が適用され、現在3750円の保険料が、4350円となるところ2800円に抑えられるなどの措置が取られます。40歳から64歳の人が払う介護保険料についても、その上昇幅に一定の抑止がなされることになりました。
介護報酬の減額を含む、2015年の政府新年度予算案については、14日の閣議決定を持って、正式に認められることになります。
出展 詳しくは、こちらから→ 介護ぱど