介護職に外国人を。厚労省の素案まとまる。言葉の壁をどう乗り越えるか
厚生労働省は23日に開かれた有識者検討委員会での素案として、介護職への外国人の登用を盛り込んだ中間報告書を提示しました。
同報告書では、現在、製造業などに限定されている「外国人技能実習制度」について、2015年中をめどに、介護職を対象職種に追加することを促しています。
先日、介護ぱどニュースでもお伝えしましたが、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、250万人の介護職が必要なところ、現在の試算ではそれが220万人と、30万人が不足する深刻な人手不足となる見通しです。厚生労働省では、若い人に向けた介護職の合同就職説明会や職場体験会などを実施することで介護職の人員拡大を図っていますが、労働条件の厳しさの割に給料が低いといわれている介護職に、こうした施策だけで人員を増やせるかについては疑問符も点灯します。
そこで、介護職への外国人の登用ということになるのですが、国では2008年から、経済連携協定(EPA)の枠組み内で、インドネシア、フィリピン、ベトナムから「介護福祉候補者」を受け入れてきました。しかしこの制度では、日本語で、介護福祉士資格の受験をすることが必須となるため、外国人にとって受験のハードルが大変高く、昨年までの受け入れは1500名程度にとどまっています。
ここに、発展途上国の実習生に日本で働きながら技術を習得させ、その技術を母国に持ち帰って経済発展に役立ててもらう目的である「技能実習制度」を用いれば、EPAの枠組み以上に、介護職への外国人の採用が容易になるという目論見があるようです。
政府は、今回の報告書に盛り込んだ介護分野への外国人の採用については、日本語能力試験の中レベルで、日常会話ができたり、新聞の見出しが理解できる「N3」程度を有するもののみとすること、介護の知識や技術を学ぶ2ヶ月の研修ののち、実際の介護施設などで働きながら介護技術を習得させるなどの条件のほか、就労については設立3年以上の特別養護老人ホームに限り訪問介護は対象外とするなどとしています。
しかし、介護職は「単純な肉体労働」ではありません。人手が足りないからとにかく人員数を増やそうということでは、また別の問題も招きかねません。
介護職の待遇改善、足りない人員の補充、なにより介護施設を利用する人の安全と安心、快適なサービスを、高いレベルでどう維持していくか。こうした問題を「いま」解決しておかないと、これから急激に進む日本の高齢化社会を支えていくことはできません。
出展 詳しくは、こちらから→ 介護ぱど