ロボットによる「介護革命」は起きるか。政府による「ロボット新戦略」まとまる
政府は、「日本再興戦略」改訂2014で掲げられた「ロボットによる新たな産業革命」の実現に向けて、2014年9月から6回にわたりロボット革命実現会議を開催してきましたが、このたびその内容が「ロボット新戦略」としてまとめられました。
少子高齢化、生産年齢人口の減少が急速に進む日本において、ロボット技術は、製造業の生産現場だけでなく、農業・建設・インフラの作業現場のほか、医療、そして介護の現場において、人手不足の解消や、過重な労働からの解放、生産性の向上など、社会的な課題を解決する可能性があると見込まれています。
このたび経済産業省によってまとめられた「ロボット新戦略」の中で、介護分野においては、「介護は人の手により提供される」という従来からの基本概念は維持しつつ、ロボット技術の活用による介護業務の効率化・省人力化を支援していくとされました。
介護現場では、その肉体的な負担の大きさから、従事している職員の実に7割が腰痛などを抱えており、そうした負担を軽減するための介護ロボットの開発がなされていますが、実際の現場への導入には、その費用が高額なことから、なかなか普及が進んでいないという状況がありました。
政府は、今回の新戦略の中で、より安価で、介護の現場で使いやすいロボット開発を政策的な課題として掲げ、2020年度目指すべき姿という具体的な期日を掲げつつ、要介護状態になっても住み慣れた地域で自立した生活を継続することを実現することに加え、介護従事者の身体的負担を軽減する介護ロボットを介護現場に導入することにより、安全で安定した職場環境づくりを推進するとしています。
【介護分野におけるロボット新戦略の目標(厚生労働省資料より)】
・ 販売目標として、2020年に介護ロボットの国内市場規模を500億円に拡大 。
・ 最新のロボット技術を活用した新しい介護方法などの意識改革を図り、介護をする際に介護ロボットを利用したいとの意向(59.8%)を 80%、介護を受ける際に介護ロボットを利用して欲しいとの意向(65.1%)を 80%に引き上げ(括弧内の数字については、内閣府世論調査「介護ロボットに関する特別世論調査」、調査時期:平成 25 年8月1日~8月11日)。
・ 移乗介助等に介護ロボットを用いることで、介護者が腰痛を引き起こすハイリスク機会をゼロにすることを目指す。
負担は軽く。サービスの質は高く。そうした「理想の介護」に向けた、ロボット技術の応用が期待されます。政府のこれからの取り組みに注目です。
▼外部リンク
経済産業省:「ロボット新戦略」(ロボット革命実現会議とりまとめ)
http://www.meti.go.jp/press/2014/01/20150123004/20150123004.html
出展 詳しくは、こちらから→ 介護ぱど