ケアプランを作成する際の注意点
要介護(または要支援)の認定を受けて、介護保険によるサービスを利用する際、まず「介護サービスの利用計画書」であるケアプランの作成が必要となります。
ケアプランは、介護サービスを受ける要介護者の健康状態や家庭の状況、本人や家族の要望などを考慮し、認定された要介護度での利用限度額や定められた回数に基づいて作成されます。ケアプランは本人や家族が作成することもできますが、通常はケアプラン作成の専門員であるケアマネジャーに依頼するケースがほとんどです。
「要介護」と「要支援」では相談窓口が違う
認定結果が「要介護1~5」の人の場合は、居宅介護支援事業所にケアプラン作成の依頼・相談をしますが、2006年におこなわれた介護保険の制度改定により、「要支援1」「要支援2」の人の場合は、原則的に住んでいる地域の地域包括支援センターにケアプラン作成の依頼・相談をするよう定められています。いずれの場合も、ケアマネジャーへの報酬は介護保険の財源から支払われるため、プランの作成を依頼したからといって、利用者に金銭的な負担がかかることは一切ありません。
ケアプラン確定までの流れ
ケアプランの作成を依頼すると、まずケアマネジャーによるアセスメントがおこなわれます。これは、ケアマネジャーが利用者の「できること・できないこと」といった心身の状態や生活環境などを把握し、「今後どうしたいのか」という意欲や目標を確認するための手続きです。このアセスメントに基づき、ケアマネジャーはケアプランの原案を作成します。この原案をもとに、実際にサービスを提供する事業所の担当者を含めた「サービス担当者会議」でサービスの種類や回数の調整がおこなわれ、最終的に本人・家族の同意を得てケアプランは確定します。
納得のいくプランを作成するために
会計検査院がおこなった介護保険制度に関する報告では、公正に作成されるはずのケアプランにおいて、特定の事業者に偏って作成されているケースがあることが指摘されていました。こうした偏りが起こるのは、ケアマネジャーが、自分が所属する事業者や関連グループの業者に偏ったプランを作成してしまう場合があるためです。利用者本人が「ずっとお世話になっているケアマネさんがいる」という理由などから、こうした施設を希望する場合もありますが、事業者の利益のみを優先して、ケアマネジャーが特定の業者に誘導するようなプラン作成をおこなうことは大きな問題といえます。
ケアプランは、要介護者の人格を尊重し、その立場にたって作成されるのが基本であり、利用者の要望を無視してプランが作成されることがあってはなりません。そのため、ケアプランの作成を依頼する際には、本人と家族の要望をキチンと伝え、わからないことには説明を求めるなど、納得できるまでケアマネジャーと話し合うことが大切です。また、どうしても納得のいくプランを作成してもらえない場合には、ケアマネジャーを替えてもらう、自己作成に切り替えるなどの措置をおこなうことも必要といえるでしょう。
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